Skip to Main Content
texto

パウチ型、角形、円筒形のバッテリー検査の課題に対するマシンビジョンの取り組み

消費者が EV を選ぶ際の選択肢はかつてないほど増えており、メーカーはますます競争が激化する市場において革新を推進し、注目される存在になることを求められています。その結果、EV 業界は費用削減とスループット向上に注力し、自動車をより身近なものにしようと取り組んでいます。同時に、バッテリーメーカーと自動車メーカーは、EV が厳しい安全要件と性能基準を満たすことを保証する必要があります。
Different types of EV batteries

要点

EV バッテリーの各タイプには、マシンビジョンソリューションを必要とする検査上の課題があります。コグネックスのテクノロジによるこの問題の解決方法は以下のとおりです。

  • EV バッテリーセルには主にパウチ型、角形、円筒形の3タイプがあります。
  • ポーチ型セルの場合、シワなどの欠陥が生じることがあり、また反射グレアのために欠陥の検出が困難になります。角形セルの場合、精密な溶接検査が必要となります。コグネックス AI ツールは溶接シームの欠陥を特定し、許容範囲内の溶接異常と区別します。
  • 円筒形セルの場合、丸形状の表面上ではダイレクトパーツマーキング(DPM)の読み取りが難しくなります。コグネックスのバーコードリーダであれば、光沢のある不均一な表面でも簡単に読み取ることができます。
  • マシンビジョンであれば、ブレードバッテリーや個体バッテリーなどの進化するバッテリーテクノロジに適応できます。

バッテリーは EV 価格の40%を占めることもあり、費用削減の出発点として理に適っています。また、マシンビジョンを使った自動化はバッテリー製造費用の削減に不可欠です。メーカーや OEM ユーザはこのテクノロジを用いて、バッテリーの欠陥検査セルのモジュールへの誘導アセンブリの検証、機能の測定、部品の識別を行っています。しかし、組み立てられるバッテリーの種類によっては、自動化の実現においてさまざまな課題が生じる可能性があります。

マシンビジョンは、数多くの EV バッテリー製造作業を自動化するために不可欠です。左から:マシンビジョンシステムが電極コーティングの幅を測定し、円筒形バッテリーの欠陥を検出し、セルをモジュール筐体へと誘導し、角形バッテリーのコードを識別します。

パウチ型、角形、円筒形の EV バッテリーセルは同じ機能を有し、メーカーはこれらを EV バッテリーモジュールやパックに組み込みます。しかし、EV の費用を下げるには、固有の特性や製造上の障害を理解し、マシンビジョンを使ってそれらの障害を解決する方法を見つけ出すことが非常に重要になります。

EV リチウムイオンバッテリーはすべて、電極の製造から始まります。バッテリーメーカーは炭素、黒鉛、その他の元素の混合物を金属シートに流し込み、負極と正極を形成します。ここまでは製造上ほぼ類似していますが、この後明確なメリットと製造上の課題が浮かび上がってきます。
 

パウチ型セル

Robot Guidance.avif

製造工程: セパレータ材料と電極コーティングされた負極と正極がシート状にカットされ、多層アルミニウム複合箔製のパウチに配置されます。次に、バッテリーメーカーは箔の端をシールし、タブを溶接し、パウチに液体電解質を充填します。最後に、セルはセル形成と呼ばれる工程で、さまざまなエージングとガス抜きの手順を経ます。 

メリット:耐久性を備え、他の形状に比べてコンパクトでサイズが均一であることから、パウチ型バッテリーを支持するメーカーもあります。パウチ型バッテリーは一般的に、セルシートの積層または「Z折り」によって製造されます。この工程では、ロボットが負極シートまたは正極シートを1枚ピックアップし、セパレータ材料の上に配置し、その後、次の正極シートまたは負極シートをその上に配置していきます。パウチ型セルの支持者によれば、積層工法では、円筒形や一部の角形で使用される巻回工法と比べ、より均等な熱分布が可能となります。パウチ型セルには硬いケーシングがないため、製造費用を低く抑えることができ、エネルギー密度も高くなります。

デメリット:バッテリーシステムの設計や要件によっては、パウチ型バッテリーの形状の利点の一部が不利に働くこともあります。ケーシングがないため、製造費用や重量が削減され、エネルギー密度が高まるかもしれませんが、パウチ型セルは、一定の充電サイクルを繰り返すと体積が最大10%膨張する可能性があります。パウチモジュールの設計によっては、パウチから熱を逃がすために、各パウチ型セル間にアルミニウム製の伝熱板を必要とするものもあります。モジュールの設計とセル数によっては、これらの熱管理システムはパウチ型セルのメリットを一部相殺する可能性があります。 

EV D900 パウチ型セル表面検査

特有の課題:パウチ型 EV バッテリーは金属製で柔軟性があるため、反射グレアやシワが多く、そのため欠陥検出が難しくなります。検査工程で欠陥を見逃すと、バッテリーの性能と完全性が損なわれる可能性があります。一方、パウチの表面にある許容範囲内の外観上の欠陥を重大な欠陥と見誤ると、廃棄率や費用が高くなる可能性があります。擦り傷などの欠陥と、許容範囲内の欠陥の差は数ミクロンです。

解決策: パウチ型セルの欠陥検出は、ルールベースのマシンビジョンソリューションでは複雑すぎます。ルールでは、欠陥と許容範囲内の異常について、何百もの変数と反復を考慮する必要があるからです。加えて、ユーザは直前に異なる製品仕様や設計を要求してくることがあり、その要求に応えるために、ベンダー、製造技術、材料を変更することで、新たな問題や欠陥が発生する可能性があります。

このような課題に取り組むため、コグネックスは AI 搭載マシンビジョンソフトウェアである VisionPro Deep Learning を開発しました。このソフトウェアは、何千ものラベル付けされた画像を分析することで、バッテリーの「良品」と「不良品」を学習します。 マシンビジョンシステムと組み合わせることで、VisionPro Deep Learning はバッテリー検査を自動化し、バッテリーの品質を保ちながら費用と検査時間を削減します。計算画像処理テクノロジは、パウチ型バッテリーの表面をさまざまな角度から照らし、微妙な欠陥や特徴を明らかにして、さらに優れた検査結果を提供することができます。

電気自動車ソリューションガイド | 英語

電気自動車ソリューションガイド

ダウンロード

角形セル

製造工程:角形セルは、電極コーティングされた負極、正極、セパレータ材料を単層に巻いたり、積層したりすることで製造されます。配置後は、セルシートは長方形の金属製筐体に挿入されます。一般的に、積層型のセルシートはより多くのエネルギーを放出し、より優れた性能を発揮する一方で、巻回型のセルシートはより多くのエネルギーを蓄積し、耐用年数はより長くなります。 

メリット:角形バッテリーセルは長方形であることから、モジュールやパックにおいてエネルギー密度が向上します。この場合、セル間に無駄なスペースは生じません。一部のバッテリーメーカーでは、角形バッテリーにリン酸鉄リチウム化学を使用しています。これはリチウムイオンバッテリーに比べてより簡単に入手でき、かつ経済的な材料が使用されています。また、角形セルは他の形状よりも大きいことから、電気接続やワイヤハーネスが少なくて済み、製造上の欠陥の可能性を低減することができます。

デメリット: 角形バッテリーセルの標準サイズは限られています。バッテリーシステムごとに特有のセル仕様や寸法が必要となることから、大量生産が複雑になり、費用が上昇する可能性があります。角形バッテリーは形状が均一でサイズが大きいことから、モジュールやパックのレベルではエネルギー密度が高まる一方、この設計では、セルが密接しているために熱の逃げ場がなく、熱蓄積を引き起こす可能性があります。

特有の課題:角形 EV バッテリーセルの製造には、多くの溶接を必要とします。メーカーはセルシートの周囲に金属製筐体を溶接し、筐体の上に上部パネルまたは蓋を溶接します。角形バッテリーは相互に密接して積層されることから、セルの発熱と冷却の際に、蓋が膨張したり収縮したりするスペースが必要です。セルをモジュールに取り付ける前に、上部パネルと側面パネルの溶接シームの検査が不可欠となります。

EV ディープラーニングによる上部と側面の溶接検査

解決策: 角形バッテリーの溶接シームの欠陥(溶接過少や溶接過多など)は、許容範囲内の異常と非常に類似し、またあらゆる形状と大きさで発生します。欠陥溶接のあらゆる反復を考慮することや、この欠陥溶接を類似する許容範囲内の異常と区別することは、ルールベースのマシンビジョンには複雑すぎる課題です。 

コグネックスの VisionPro Deep Learning は、二次元や三次元の画像処理システムと連動し、このような微妙な欠陥を検出するように設計されています。VisionPro Deep Learning の欠陥検出と分類のツールは、幅広い「良」と「不良」の溶接バリエーションでトレーニングされており、このソリューションによって、機能上の欠陥と許容範囲内の外観上の欠陥を識別して分類することができます。 
 

円筒形セル

製造工程:パウチ型や角形のバッテリーとは異なり、円筒形 EV バッテリーセルは、電極コーティングされた負極、正極、セパレータ材料を単層に巻くだけで形成されます。その後、メーカーは出来上がった円筒形(「ゼリーロール」)をケーシングに挿入し、液体電解質を充填し、セルを密閉します。 

EV DM80 円筒形バッテリー DPM

メリット:円筒形 EV バッテリーセルは、テスラ社、リビアン社、ルーシッド社など数多くの EV メーカーで採用されていますが、これには理由があります。円筒形バッテリーは何十年も前から各社が製造しており、長年にわたって標準的なサイズが確立されてきたため、角形やパウチ型のバッテリーよりも経済的に製造することができます。バッテリーのサイズや製造工程にもよりますが、ある試算によれば、電極の巻回工法での製造速度は毎分200個で、積層や「Z折り」工法での毎分10個に比べて、高速化されます。また、円筒形は他の形状よりも本質的に機械的に頑丈であり、薄いバッテリー壁を使ってガスの蓄積に対応できるため、より安全な選択肢と言えます。

デメリット: 円筒形バッテリーセルをモジュールに配置すると、各セルの間に隙間ができます。各セル間のスペースは熱の蓄積を抑えますが、その結果、モジュール内に多くの空きスペースが生じ、エネルギー密度が低下します。また、一部のメーカーによると、円筒形バッテリーは、寒い環境では他の形状ほど性能を発揮しません。

特有の課題:円筒形バッテリーセルの設計が追跡性の障害となっています。電気自動車用バッテリー工場では、製造工程、原材料の産地、ロット番号などのデータを、ダイレクトパーツマーキング(DPM)と呼ばれる直接バッテリーにエッチングされたコードに記載しています。この情報は、リコールをより効果的に管理し、多くの規制や持続可能性の目標を遵守し、製造工程における問題点を切り分けるために重要です。

しかし、円筒形バッテリーの DPM を読み取るのは、コードがバッテリー側面のどこにでも配置される可能性があるため、特有の難しさがあります。また、バッテリーは丸形状で金属製であることから、コードが歪んだり変形したりすることが多く、機械による読み取りが難しくなります。

解決策: コグネックスの画像ベースバーコードリーダは、高度な画像生成およびデコードテクノロジを使用して、これらの課題を克服しています。ハイダイナミックレンジプラス(HDR+)は、局所的なコントラストを高めて均一な画像を作成し、コグネックスのバーコードリーダがより広い視野をカバーし、円筒形バッテリーのさまざまな側面のコードを読み取れるようにします。PowerGrid 搭載 2DMax は、テキストデータと形状データを組み合わせて、変形や歪みがあっても、低品質のDPMを読み取ることができるアルゴリズムです。
 

新しい形状とサイズ:ブレードバッテリーと固体バッテリー

EV バッテリーセルに客観的な「ベスト」は存在しません。それぞれの形状には長所、短所、特有の製造上の課題が存在します。各社は新しいバッテリーの製造技術、設計、化学物質の試行を繰り返し、それが新たな製造上の問題を生み出しています。

大手 EV メーカーでありバッテリーメーカーでもある BYD 社は、2020年に「ブレード」バッテリーを発表しました。この設計ではモジュールは不要で、バッテリーシステムは細長く長方形のバッテリーセルで構成され、直接パックに取り付けられます。中国の自動車メーカーは、このブレードバッテリーは他のリン酸鉄リチウムバッテリーよりも50%スペースを節約できると主張しています。2023年に、テスラ社が一部のモデルでブレードバッテリーの使用を開始し、2024年初めに、フォード社、GM 社、ステランティス社のティア1自動車部品サプライヤーであるボルグワーナー社が BYD 社 のブレードバッテリーを使用する契約を締結しました。

BYD Blade Battery.png

画像ソース:BYD

2020年に発表された BYD 社 のブレードバッテリーは、他の EV バッテリーの形状と比べてエネルギー密度と安全性に優れていると主張しています。一部の自動車メーカーとその相手先ブランドメーカー(OEM)がこのテクノロジに関心を示しています。 

十数社の自動車メーカーやバッテリーメーカーも、固体バッテリーテクノロジの研究を進めています。液体電解質をイオン伝導膜として使用する従来のバッテリーとは異なり、固体バッテリーでは固体電解質が使用されます。固体バッテリーのメリットには、より優れたエネルギー貯蔵、より高速な充電、より安全な EV などが挙げられます。しかし、このテクノロジはまだ開発途上であり、一部では、固体バッテリーの高い製造費用、検証の欠如、その他大量生産への使用前に解決すべきハードルを取り上げて、批判する人もいます。

マシンビジョンは、セルの形状が何であれ、EV バッテリーの製造に必ず役立つツールです。バッテリーテクノロジや製造技術が進化するにつれて、欠陥と許容範囲内の異常とを区別し、部品を追跡し突き止める能力は、メーカーにとってより重要なものになります。 

自動車エレクトロニクスおよび安全システムアプリケーションガイド | 英語

自動車安全およびエレクトロニクスソリューションガイドのダウンロード

ダウンロード
最終変更日2024/05/16

関連リソース